水田や畑にすんでいる生きものを  
           全国規模で調査中!

研究対象:水田や畑に住んでいる鳥類全般 
分野:保全生態学
研究タイトル:水田や畑にすんでいる生きものの全国調査
研究者のwebサイト:https://goldcrestxmunebird.wixsite.com/kitazawa-munehiro

湿原で調査中の北沢氏

背景

 水田や畑などの農地は陸上の3分の一以上の面積を占めています。そのため、農地は数多くのいきものたちのすみかとなっています。しかしながら農地には今、大きな変化の波が押し寄せてきています。人手不足により、古くから大切にされてきた棚田やため池を手放さざるを得ない状況が全国のあちらこちらで発生しています。人の手を離れた農地はやがて、湿地や森林に戻ってきています。このような場所を耕作放棄地と呼んでいます。一方で平野部の農地では「圃場整備」によって、水路はコンクリート舗装され、水はけも改善し、また1枚1枚の圃場の面積が大きくなってきています(写真1)。

 

研究内容

 このような農地の変化は、農地にすんでいる生きものにどんな影響を与えているでしょうか?急激に変化している日本の農地に興味を持ったわたしは、耕作放棄地や圃場整備された水田にどんな鳥がどれくらい生息しているのかを日本全国で調べています。

期待される成果

 「どこにどんないきものが、どれほどすんでいるのか」を調べることは、いきものの効率的な保全策を考える上での第一歩です。耕作放棄地と圃場整備された農地の、いきものの生息地としての価値をしらべることで、それらを既存のいきものの保全策に組み込み、またいきものの減少を防ぐような対策を提案できると考えています。また、日本は世界の中で少子高齢化の進行が最も早い国の一つです。耕作放棄と圃場整備は今後、日本を追いかけるように世界中で進行することが予測されています。耕作放棄と圃場整備によるいきものの応答を日本で調べることで、ほかの国々のいきものの保全にとって参考になるような知見を提供できると考えています。

 

研究者よりコメント

 私は新潟の生まれであり、実家の周りは水田だらけでした。幼少期には水田のいきものたちと触れ合うことで、命の大切さを学び、いきものの種の豊富さに触れることで、世界の広さを学んできました。さまざまな事を教えてくれた「農地のいきものたち」を、次世代の子供たちにも残せるように研究を進めています.