日本を中継地として利用する

 シギチドリ類が減っている原因の解明!

研究対象:シギチドリ類、小型フクロウ類 
分野:進化生態学、群集生態学、DNAメタバーコーディング、NGS、バイオインフォマティクス、鳥類標識調査(バンディング)
研究タイトル:日本を中継地として利用するシギチドリ類の減少の原因とは?
研究者のwebサイト:https://sites.google.com/view/masanori-tatani

単眼望遠鏡を使った観察の合間

背景

 高緯度地域で繁殖し、長距離の渡りをするシギ・チドリ類は多くの種で近年の急激な減少が報告されていますが、日本の干潟や湿地を中継地、越冬地として利用する集団も例外ではありません。例えばハマシギでは日本で越冬する集団でのみ顕著な減少がみられるなど、日本の湿地環境が特に悪化していることが推測されています。
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研究内容

 鳥の減少に寄与する要因はさまざまありますが、その中でも私は餌環境の悪化が特に大きくはたらいているのではないかと考えています。宮城県で行っているシギチの標識調査(バンディング)の際に得られるフンをサンプリングし、DNAを使った新しい手法を用いてシギチ群集の食性を詳細に調べています。湿地におけるシギチと餌生物の被食-捕食の種間ネットワークを詳細に記述することでシギチの減少の要因を探ろうとしています。また、この分析結果は進化生態学や形態進化の観点からも考察が可能だと考えています。

研究者より一言 

 シギチ群集は渡りの時期に一時的に多数の個体が同じ湿地に集結しますが、種間や種内で餌資源の競争は起きているのでしょうか。また、シギチを特徴づける嘴や脚の形態の多様性はどのように生まれているのでしょうか。このように食性を詳細に記述するという研究から複数の疑問に答えることができるのではないかと考えています。

期待される成果

・中継地の湿地におけるシギチ群集を取り巻く
 生物種間ネットワークが詳細にわかる(=群集生態的成果)

・急速に減少するシギチの保全に必要な環境とは
 どういうものかがわかる(=保全生物学的成果)